つまらない作業を楽しくする方法

天敵昆虫のお世話

 

 

今日は天敵昆虫のお世話バイト。内容は対してことはない。天敵昆虫の飼育ケースから、傷んだエサ(ジャガイモ、ブラウンシュリンプ)を取り出し、水を補給し、入れ替えるだけ。「飼育の手伝いなんていいじゃないか~、昆虫が好きならたまらないでしょう」と言われそうだが、とても小さな虫なのでアリにしか見えない。本当はカメムシの仲間なのだが。この虫。厄介なのが、飛べること。といっても昆虫のほとんどは飛翔能力があるので珍しいことではないのだが、小さすぎて翅が見えなかったので飛べないと思っていた。箱を開けたら冒険心のある奴らが飛びたとうとする。一度飼育ケースを出たら、もう回収するのはほとんど不可能だ。

 

単純作業なのでつまらないといえばつまらない。だが、このお世話をした昆虫が、農家さんのもとへ行き、そこで害虫を捕食し、農家さんが美味しい野菜を作るところを想像したら、少しやる気がでる。作業だけを見れば、ひたすらジャガイモを取り替えてシャーレを洗う仕事だが、この作業が役に立つと実感できると嬉しくなるのだ。

 

 

有名な話がある。

 

 

世界中をまわっている旅人が、ある町外れの一本道を歩いていると、一人の男が道の脇で難しい顔をしてレンガを積んでいた。旅人はその男のそばに立ち止まって、

「ここでいったい何をしているのですか?」

と尋ねた。

「何って、見ればわかるだろう。レンガ積みに決まっているだろ。朝から晩まで、俺はここでレンガを積まなきゃいけないのさ。あんた達にはわからないだろうけど、暑い日も寒い日も、風の強い日も、日がな一日レンガ積みさ。腰は痛くなるし、手はこのとおり」

男は自らのひび割れた汚れた両手を差し出して見せた。

「なんで、こんなことばかりしなければならないのか、まったくついてないね。もっと気楽にやっている奴らがいっぱいいるというのに・・・」

旅人は、その男に慰めの言葉を残して、歩き続けた。

もう少し歩くと、一生懸命レンガを積んでいる別の男に出会った。先ほどの男のように、辛そうには見えなかった。旅人は尋ねた。

「ここでいったい何をしているのですか?」

「俺はね、ここで大きな壁を作っているんだよ。これが俺の仕事でね。」

「大変ですね」

旅人はいたわりの言葉をかけた。

「なんてことはないよ。この仕事のおかげで俺は家族を養っていけるんだ。ここでは、家族を養っていく仕事を見つけるのが大変なんだ。俺なんて、ここでこうやって仕事があるから家族全員が食べいくことに困らない。大変だなんていっていたら、バチがあたるよ」

旅人は、男に励ましの言葉を残して、歩き続けた。

また、もう少し歩くと、別の男が活き活きと楽しそうにレンガを積んでいるのに出くわした。

「ここでいったい何をしているのですか?」

旅人は興味深く尋ねた。

「ああ、俺達のことかい?俺たちは、歴史に残る偉大な大聖堂を造っているんだ!」

「大変ですね」

旅人はいたわりの言葉をかけた。

「とんでもない。ここで多くの人が祝福を受け、悲しみを払うんだぜ!素晴らしいだろう!」

旅人は、その男にお礼の言葉を残して、また元気いっぱいに歩き続けた。

 

3人共同じ作業をしているのにも関わらず、その気持には雲泥の差がある。それは彼らが、何を目的とし、まら想像力を働かせているか否かによって変わっている。

 

 

他の機会でも感じたが、仕事は楽しいことばかりではない。インターンに行ったときも大きく言えば、自然との共生を目指す仕事、だが実際にやることは、地味で、泥臭く、ワクワクもない単純な作業なのである。

 

しかし、よく考えたら、何でもそうなのだ。

 

スポーツだって、最初から楽しいことをするわけではない。野球ならランニングや素振りから始まるだろうし、陸上も、いきなり試合形式で走るというわけではない。地道な練習を積み重ねていくのだ。

 

勉強も同じだ。英語にしろ、数学にしろ、基礎ができていないと問題は解けないし、上達しない。だから、面白くなくても、人は積み重ねることを大切にする。

 

 

仕事でも、大きな目的、例えば、世界の貧困をなくすだとか、もっと多くの人を便利にする、市民が安心できるまちづくりを、病気で困っている人を助ける、などを目指すことは私達にパワーを与えてくれるが、そのための行動は、ちっぽけで、一見、何も面白みのないものだ。

だけど、想像することで、つまらない作業が、"誰かに役立つための仕事”になる。

そう考えると、気持ちを変化する。

 

 

とまあ、前向きなことをいったけど、やっぱりワクワクしない仕事はワクワクはしないし、単純作業は眠くなる。

こういう仕事はAIがしてくれたら助かるのにな、と考えながら、飛び出そうとする虫に追われる今日であった。

確かに仕事ですることは、ワクワクするようなことばかりではない。地味でつまらないことをするのも、大事な仕事。

だけど、人生の大きなウエイトを占める仕事、できれば、自分のしたい仕事をしたいものである。